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うんなんしゅびへい

雲南守備兵

木村 荘十

「新青年」1941(昭和16)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页

青空文庫

「春生! お前の居た鉱山はどの鉱山だ」

「洪開元将軍の鉱山なの、あすこは一番酷いんだって――」

「洪司令官の鉱山だ?」

孫は眉をあげて、「畜生!」と唸った。

と隣にうなだれて聴いていた老人が、不意に手をあげてそれを制した。

老人の眼には泪がたまっている。服装こそ粗末だが、この辺の土民とは何処か違っている六十近い親爺である。孫軍曹は、その好人物らしい老人の顔を不思議そうに見た。

「若い方……余計なことだが年寄の老婆心と思ってな」老人は遠慮勝に低い声で云った。

「こんな場所で将軍の鉱山の噂はいけませんぞ」

「何故」

「何故と云われると鳥渡困るが、洪将軍は退職なすっても、この辺では守備隊長も遠慮する御人じゃ……君子危きに近寄らずでな」

老人の眼は油断するなと云っている。

軍曹はおとなしく頷いた。そして暫く考えていたが、手をあげて店の者を呼ぶと、弟に何でも好きなものを註文しろと云った。

洪将軍というのは、もう大分前にこの地方の軍司令官をしていた有力者だが、孫は、この有名な将軍までが、こんな子供達を酷使して、金を作っているのかと思うと、新たな憤りに手足が震えた。

死の晴着