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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

「……だから手前は酔っているんだ。……お前も知ってのとおり、四郎に請負った仕事は、たった一ヶ所だけ済んだばかりだ。約束どおり、あと二ヶ所の約束を果さなきゃ、四郎の実験は尻切れ蜻蛉になるちゅうで、つまりソノ……お金は全部終らなきゃ、儂のところへは、わたらぬことになっとるじゃア! な、分ったろう」

「うまく胡魔化しやがる。……それは、ほ、本当かい」

「本当だとも、あと二ヶ所だ。……それが全部済んだら、きっと呑ましてもやるし、今云った金子も呉れてやる。……」

「呉れてやるとは、ヘン大きくお出でなすったなア……だ。……じゃ松テキ、その約束を忘れるなよ。忘れたり、俺を袖なんぞにして見ろ。そのときは警察に罷り出で、おおそれながら、実は松テキの野郎と長い竹竿を持ちまして、町内近郊をかくかく斯様でと。……」

「コーラ、何と云う。……」

松吉は矢庭に化助の後にとびかかって、その口を押えようとする。化助は、何を生意気なと後を向いて噛みついてくる。そこで膳部も襖も壁もあったものではない落花狼藉!

そこへヒョックリと、北鳴四郎が入ってきた。

「松吉さんは、御在宅かネ」

「ホーラ、誰か来た」