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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

と、一人の憲兵がピストルをだしました。

「まあ、まてっ」

と、良太おじさんは、いそいでそれをとめ、

「そんなことよりも、電気鳩がどこへゆくか、あとをつけてゆく方が大事なんだ。さあ、そこの二人は、電気鳩をすぐおいかけろ」

さすがに良太おじさんです。あわてずさわがず、二人に電気鳩のあとをおわせました。

そのとき、べつの方角から、わんわんと犬のほえるこえがきこえてきました。マルです。マルがほえているのです。良太おじさんは、むっくりおき、

「よし、のこった者は、自分についてこっちへこい」

スパイ団のほら穴は、いよいよ近くにあることがわかりました。

良太おじさんは、いさましくも憲兵隊のまっさきにたって、草をわけて走ります。おりから、ちょうどむこうの山から月がでました。

「こんなところにほら穴があったぞ。さあ、このなかへ突撃だっ」

というが早いか、良太おじさんは懐中電灯を片手に、さっとほら穴へとびこみました。みんなもそれにつづきました。

すると、べつの方角から、ぽんぽんという銃声がおこりました。

「うわあっ、憲兵だっ」

と、よろめきでてくるスパイ団は、そこにも良太おじさんたちのすがたをみて、二度びっくり。