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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
と、そめだした赤や青の旗をたてた小屋です。
「さあいらっしゃい。人間よりかしこい鳩の曲芸です。世界一のかしこい鳩です。坊ちゃん嬢ちゃん、さあさあおはやく……」
と黒めがねをかけた男が、客をよんでいます。
鳩ときいては、鳩のすきな二人は見たくてたまりません。二人はいそいではいりました。
はいってみると小屋の中はがらんとしていました。見物人もほんのすこしです。
「へんだなあ」
とおもったのですが、そのとき印度服をきた鳩つかいが、金ぴかの鳥かごを手にさげて、ぶたいにあらわれました。
「さあ、お目をとめてごらんください。これが世界一のかしこい鳩です」
鳩つかいは、長いむちでかごをたたきながら、二人の前にさしだしました。かごの中には、つばさの色がうす青色で、金のすじが二本とおっている鳩が、じっとこっちをみていました。
(あっ、電気鳩そっくりだ)
と、高一は目をみはりました。
「さあ、これからこの鳩にお嬢さんのおとしや、名前までもあてさせましょう。お嬢さん、どうぞこちらへあがって下さい」
「だめだよ、ミドリ」
と、高一はそれをとめました。しかし、鳩つかいは知らぬ顔をして、ミドリをぶたいにひっぱりあげ、みょうなだいにのせました。