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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

高一のいれられている穴ぐらの入口のところで、がちゃがちゃとかぎの音がし、いきなり入口の四角なあげぶたがあいて、にくいスパイ団長がはいってきました。

「やい小僧、いいところへつれてってやるから、このなかへはいれ」

といって、手下のはこんできた、たるをゆびさしました。

「いやだ。それよりもぼくの妹をどうしたんだ。はやく、ぼくをミドリにあわせてくれ」

「ミドリはお前より一足さきに船にのりこんでらあ。むこうへいってからあわせてやる」

「うむ、さては、妹もたるづめにされたのか」

「いや、たるにいれるのは、お前みたいなあばれん坊だけなんだ。さあはいれ」

高一は力およばず、とうとうたるにいれられました。

どこへいく?

高一のおしこめられた、たるは、まもなく、外にかつぎだされました。いったい、どこへはこばれてゆくのでしょうか。まっくらなたるのなかで、高一は、気が気でありません。

くう、くう、くう。

高一のおなかのへんで、ないているものがあります。それはもう一羽の鳩、アシガラでありました。高一がわる者のため、たるにいれられるすこしまえ、わずかのすきをうかがって、アシガラを上着の下へいれてかくしておいたのです。