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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
電気鳩をだそう」
「よし、電気鳩だ」
スパイ団長は、ついにおそろしい電気鳩をぱっとはなしました。
高一は、それをきいておどろきました。
きゃ、きゃんきゃんきゃん。
まもなくマルのかなしいさけびごえがきこえます。あわれ忠犬マルも、電気鳩にやられたようすです。
高一はたるの中で、歯をくいしばってざんねんがりました。しかし、電気鳩にかかっては、マルはどうすることもできますまい。
「これでいい。ああ、ほねをおらせおった」
と、これはわる者のためいきです。
トラックは、四、五時間も走りつづけたのち、港につきました。
たるはそこで船のそこへつみかえられました。それは、外国の貨物船のなかでした。
その夜、高一ははじめて、すこし手のいましめのなわをゆるめられ、そして、ごはんがわりに、五つ六つのりんごがたるのなかになげこまれました。なんというひどいことでしょう。
わる者は、また、たるのふたをしっかりしめて、でていってしまいました。
ごとごとときかいのなる音がして、汽船は港をでてゆくようすです。
「どこへゆくのだろう。そして、ぼくやミドリをさらっていってどうする気なんだろう」