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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

あまりのものすごさに、高一もミドリもあっけにとられて、あやしい鳩の行方をみおくっていました。

ちょうどそのころ、この村のうんと上空を一だいの大きな飛行機が、あとに三だいのグライダーをひいてとんでいました。それは、こんどあらたにつくられた三百人のりのすごい飛行列車です。あやしい鳩はおそれげもなく、その飛行列車にずんずんちかづいてゆきました。おどろいたのは飛行列車の三人の試験操縦士です。

「おや、あの鳩は、ちっともにげないぜ」

「かわいそうに、いまにはねとばされるぞ」

そういっているうちに、あやしい鳩は弾丸のように、その翼にぶつかりました。

「あっ、たいへん!」

たちまち翼はそこのところから、まっぷたつにわれ、飛行列車は黒いけむりをあげて、とんぼのようにもつれあいながら、地上についらくしました。五キロもさきの山の中に。

しかし、このできごとが、あやしい鳩のためにおこったとは、だれも気がつきません。

電気鳩

「ねえ、兄ちゃん。どっかのお家の鳩が、うちの鳩とあそびたいって、それでおりてきたのよ、ねえ」

「うん――」

高一はなまへんじをしました。だって、つかまえようとすれば、ゆびさきがぴりぴりしびれる鳩なんてあるものでしょうか。