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『しゅっけとそのでし』のついおく
青春をいかに生きるか
倉田 百三
倉田百三『青春をいかに生きるか』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『出家とその弟子』の追憶、愛の問題(夫婦愛)、学生と教養、学生と生活、学生と先哲、学生と読書、女性の諸問題、人生における離合について、婦人と職業、芸術上の心得。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,413 字 · 190 页
後に道善房が死んだとき日蓮は身延山にいたが、深く悲しみ、弟子日向をつかわして厚く菩提を葬わしめた。小湊の誕生寺には日蓮自刻の母親の木像がある。いたって孝心深かった日蓮も法のため母を捨てねばならなかった。
己が捨てし母の御姿木に造り千度額ずり哭き給ひけむ
これはこの木像を見て私の作った歌である。
ある人を愛して結ばれやがてやむなく別離したとき「今度はまたよりよき人が与えられるからいい」というふうに思うことはできない。
敷島の日本の国に人二人在りとし思はば何か嘆かむ(万葉巻十三)
したがってその人のためにも、自分のためにも、それを傷む心の持って行き場がないからである。どうしても彼のために祈り、自分の傷を癒やしてくれる人間以上のものを求めたくなる。人間の愛につまずいた者が人間以上のものを求めるようになる心理は実に自然である。人の心は恃み難しとして神にゆく者は少なくないが、それほどでなくても少なくとも宗教的心情を抱くようになるものである。しかし私たちはすべての人間が別離を味わったからといって、あるいは殉死し、仏門に帰し人生の希望を失うことを期待するものではない。