轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

08 氷献上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,674 字 · 36 页

青空文庫

顎十郎の顔を見ると、ひゃッ、と頓狂な声をあげておいて、

「いよう、これは仙波先生、きょうは、もうお役あがりですか」

顎十郎はふ、ふ、と笑って、

「この暑気では、役所づめもおかげがねえでな、休みにした」

寅吉は、並んでかかり湯をつかいながら、

「先生は、相変らず、のんびりしていらっしゃる。……御用がなかったら、あっしどもの部屋へ遊びにおいでなさいませんか。この節は、ちっとも顔をお見せにならねえので、いつも、みなとお噂をしておりやす」

「いいな、ひと風呂あびたら、いっしょに行って、久し振りにみなと馬鹿ッぱなしでもするか」

寅吉はよろこんで、

「じゃ、背中でもお流ししましょう」

と言って、膝をうち、

「……それはそうと、あけて前の朔日、ひょんな騒ぎがあったことをご存じですか」

「いや、聞いていない」

「じゃ、お聞かせしましょうか」

「聞かせてくれるのはありがたいが、暑苦しい話なら願いさげだ」

「暑苦しいどころか、とほうもなく涼しい話なんで……。なんと言っても、お氷の件なんだから」

「お氷が、どうした」

「世の中には、ずいぶん変ったこともあるもんですが、こんどなんかも、その、なかんずく。