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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

17 初春狸合戦

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,819 字 · 26 页

青空文庫

それでわれわれへ頼みというのは」

「毎夜、一匹ずつ豊島ガ岡までお連れねがいたいのでございます。その代り、一匹について、一両ずつ差しあげますが、いかがなものでございましょう」

「これはおもしろい。一匹一両ずつとすると、〆て三百三十三両、いや悪くないな」

「お願いできましょうか」

「普通の駕籠ならいざ知らず、われわれはチトばかり瘋癲でな、とかく、変ったことを好む。いかにも味のある話だによって、のちの語り草に、ひとつ引きうけてやろう。……が、少しばかり腑に落ちぬことがある」

「なんでございましょう」

「そのように変通自在な力を持っているのに、なんで駕籠へなど乗る。……旦那面をして大手をふって歩いて行けばよいではないか」

「いえ、そうはまいらぬ訳がございます。……実は、途中の犬が恐いので……。犬にあうと訳もなく見やぶられてすぐ尻尾を出してしまいます。化の皮がはげて、二進も三進も行かなくなってしまうのでございます」

「いかにも、よくわかった。では、一匹一両ずつ、たしかに引きうけた。のう、アコ衆、引きうけてもいいだろう」

今まで、なにか考えこんでいたアコ長、つまらなそうな顔で、