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ふうせんむし

風船虫

小川 未明

「児童文学」1936(昭和11)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,983 字 · 4 页

青空文庫

紙片は、また水の底の方へ沈んでいきました。風船虫は、あわてて、これを追いかけるように、銀色の体を光らして、水をくぐって下の方へ泳いでいきました。そしてまた紙を上に引き上げにかかるのでした。

「おもしろいな。」と、年ちゃんは、喜びました。しかし、いつまでたっても、風船虫は、飽きるということなく、同じことをくり返していたのです。

年ちゃんは、しまいには、ごろりと畳の上へ寝ころんで、びんの内で風船虫の体が、ぴかぴかと輝くのを見ていました。

「風船虫って、きれいな虫だな。」と、年ちゃんは、つくづく感心していました。

そのうちに、年ちゃんは、眠ってしまいました。ところが、目がさめて見ると、びんの中には、一ぴきも風船虫はいませんでした。

「どこへ飛んでいってしまったろうか。」と、年ちゃんは、しばらく、ぼんやりとしていました。

その明くる日のことでした。年ちゃんは、大きなかしの木の下で、道具箱を下ろして、あしだの歯を入れているおじさんと話をしていました。

「おじさんのとこに、学校へいく子供がある?」

「ええありますよ。ちょうど坊ちゃんと同じくらいの。」と、おじさんが、いいました。