轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょくよく
食慾
豊島 与志雄
「中央公論」1935(昭和10)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,672 字 · 20 页
するともう、激しい驟雨で、その間をぬって、ごうっとひどい雷です。それでも野口は、縁側で煙草をふかしながら、落着き払っています。いくら危いと云っても、笑っています。やがて一際はげしく、大地に岩石でも叩きつけるような擾乱が起って、私はそこにつっ伏してしまいました。暫くして、ほっと我に返り、おずおず顔をあげてみると、野口は私の側にいてくれましたが、やはり、愉快そうに外の雷雨を眺めていました。そして私の方を顧みて、大丈夫だよ、恐いと思えば恐くなるし、痛快だと思えば痛快になるものだ、と云って微笑しましたが、その時また、ぴかりときたのが、彼の近眼鏡にぱっと映って、その後から、不敵な眼付が覗きだしました。……不敵な……おう、それは、彼の側にいてさえも、私の心に孤独な感じを与えるものでした。
――「あんな場合には、誰だってそういう気持がするものだ。それをくよくよするのは、生活力の欠乏のせいだ。」と野口は申します。
だけど、そればかりでしょうかしら。野口は私をいたわってはくれますが、少しも庇ってくれようとはしないように、私には本能的に感じられるのです。六里ヶ原でもそうでした。