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しょくりょうめいい

食料名彙

柳田 国男

「民間傳承八卷二號~八號」1942(昭和17)年6月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,898 字 · 61 页

青空文庫

ケシネツツキ

南秋田郡にはケシネゴメという語があって、これは不幸の場合などの贈り物に、布の袋に入れて持って行くものに限った名としている。そうしてその中にはまた粟を入れることもあるのである。家の経済に応じて屑米雑穀の割合をきめ、かねて多量を調合して貯蔵しおき、端から桝または古椀の類をもって量り出す。その容器にはケセネギツ、もしくはキシネビツというのもある。ヒツもキツも本来は同じ言葉なのだが、今は一方を大きな箱の類、他は家屋に作り附けの、落し戸の押入れのようなものの名としている地方が東北には多い。九州の方のケシネは甕に入れ貯蔵する。これをケシネガメといっている。

ケシネツツキ 飯米を貯蔵用に精げておくことをケシネスル(久留米方言考)、またはケシネ搗くという。忙しい折柄にこのケシネが絶えると、農家ではまごつくのである。千葉県には霖雨をケシネツツキという言葉さえできていた(上総国誌稿)。外の作業はできなくて、ただ飯米を搗いてくらす時という意味らしい。佐渡の海府地方では飯米が絶えて、にわかに稲を扱き籾を摺って食べる米だけをケシネといっている。熊本県などにも、飯米をケシネという語はすでに行われなくなって、ケシネといえばただ穀類を搗きまたは摺る作業の名になっている(肥後方言集)。