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しょくりょうめいい
食料名彙
柳田 国男
「民間傳承八卷二號~八號」1942(昭和17)年6月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,898 字 · 61 页
イゴサラシ
イギス
テンというのも音が面白いので流行したまでで古い語ではなく、あるいは心太の太の字を、天と誤ったのが始めではないかとも想像せられる。
イゴサラシ イゴは一種の海草、『植物図譜』にエゴノリとあるものかと思われる。用途はてん草と同じく、東日本の各地では盆の月の食品とし欠くべからざるものである。海から遠い村々にも商品として持ち込まれている。浜では採って洗って日に乾し、天気つづきなればわざと夜露にあてる。白く晒したものを寒天のように練って、細かく刻んで酢味噌あえなどにする。佐渡ではイゴネリと称して、張板や餅板の上に練ったイゴを薄く延ばしたものを、切って醤油で煮て食べる食法もあったが、それよりも普通なのはカガミイゴ、すなわちこの液体を皿類の中で凝らせて、円い鏡の形のままを供するもので、越後でも信州でも、また奥州の南部領でも、今もってこれを盆の正式の供物の一つにしている。円いという点に何か信仰上の意義があったものらしい。
イギス 東北は秋田の男鹿半島でも、エギスという海草を汁くさとして食べていたという記事が残っている(恩荷奴金風)。九州にもこの名は処々に知られ、島原半島などは誤ってイギリスと呼んでいる。