轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぐるめにおくる

食魔に贈る

岡本 かの子

「中央公論」1932(昭和7)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,619 字 · 20 页

青空文庫

と呼ばれる壁寄椅子の隅に陣地を占め白葡萄酒を飲み乍ら料理の来るのを待っている。彼等の話は軽く脈うつ。

「あしたこそ金を持って……を迎いに行ってやるんだ」

「おやどこかへ行っているの」

「スイスのホテルで着物を売っては男と食い継いでいるんだ」

「ちっと怒っておやんなさいな」

この店の前持主のマダム・ルコントは面白い気風の女だった。彼女は市場の相場の変動によって料理の価を変えないことを自慢にした。だが競馬の負けがこんで来るとどしどし料理の価を上げた。一たいにそういった純下町風の老舗気質を愛してサラ・ベルナールはこの店を贔屓にした。ポアンカレが大統領時代には毎週火曜日に全閣員と昼食をこの店で摂るのが例だった。

現持主のムッシュウ・ルスビナッスが入口寄りの窓下でむっつりして皿鍋を掻き廻して居る。彼はそこで料理場からの皿を再調理してあたたかいところを客に供える。

蝸牛は頑固な動物でよっぽど茹で無いと軟くならない。ようやく茹で上ったものから身を引出す。薬草と葫とバタとこね合せたパテを作って置き、それに引き出した身をまぶし再び殻に詰め込み火鍋にかける。薬草の混ぜ合せに秘伝がある。