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うまをころしたからす
馬を殺したからす
小川 未明
「おとぎの世界」1919(大正8)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,401 字 · 11 页
その馬は脊の高い、まだ年若い赤毛の馬であります。からすはさっそく、その木のいちばん下の枝に止まりました。馬は、足もとの草を食べていました。
「お馬さん、お馬さん、あなたがほんとうにかけ出したら、どんなに疾いでしょうね。私はあなたのようなりっぱなお馬さんが、こうして綱で縛られているのが不思議でならないのですよ。なぜこんなところにまごまごして、朝から晩まで重い荷をしょわされていなければならないんですか。」と、からすがいいました。
「おまえはだれかと思ったらからすか、よく俺の足が疾いことを知っているな。ほんとうにかけ出したら、どんなものでも追いつけるものでない。けれど逃げ出したって、いきどころがないじゃないか、それとも、どこかいいところがあるというのか。」と、若い馬は問い返しました。
「それはありますよ。だれも束縛するようなもののいない、そして、暗い夜というようなものもない、まったく自由で、一日明るい昼ばかりのよい国がありますよ。」
「それは、いったいどこだ。」
「それですか、西の紅い夕焼けのする国です。毎日、あなたはその方を見るでしょう。いつもその方を見ると、愉快にはなりませんか。