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ほねをけずりつつあゆむ

骨を削りつつ歩む

佐左木 俊郎

――文壇苦行記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,044 字 · 10 页

青空文庫

で到頭、文学をやることに決心した。

今村家で大変可愛がられていた私は、令息の学郎さんから、読みたいと言えば、大抵の本は求めてもらうことが出来たので、学校の方も一生懸命やる約束で求めてもらうのではあったけれども、私は学校の方は怠けて落第しそうになりながらも、文学の本ばかり読み耽っていた。馬島病院にいた頃にも、やはり学郎さんから種々な本を買ってもらって読んだ。福田病院では、附添に来てくれた美波さんという看護婦が文学好きだったので、私が未だ読書を制められていた頃から、毎日のように読んでもらっていた。そんなこんなのことが、私を文学へと引っぱって行った。

それに私は、前に学郎さんと一緒に甲州の方へ十日間ばかり旅行して、その時のことを学郎さんと二人で「甲斐の旅」という紀行文を作って、今村先生からほめられた事があった。それから、この年の二月、未だ病気をしなかった頃に、今村家を中心として拵えた「流汗主義」という論文的な文章を雑誌「樹蔭」に書いて、この時も今村先生からほめて頂いた。そうで無くてさえ、文学には有頂天だったのだから、佐々木にしてはうまいものだと言う今村先生のおほめを、自分で全かり佐々木はうまいものだ! にしてしまって、下手の横好きという俗諺の通りに、私は到頭、文章家として立とうと決心したのであった。