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ほねをけずりつつあゆむ
骨を削りつつ歩む
佐左木 俊郎
――文壇苦行記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,044 字 · 10 页
大正九年の初秋、玉蜀黍の葉末に、秋らしい微風の音を聞く頃……。
病弱時代
赤十字病院を退院すると私はすぐに、大船の常楽寺に行って静養する事になった。そこには今村のお嬢さんが絵の稽古旁々松洲先生等と一緒に避暑に行っていたからであった。ところが私は、未だ文章家として立とうと決心したばかりなのに、病院にいるうちから書きたくて書きたくてむずむずしていた。病院からも、早く書いて見たくて、本当に未だ退院の出来ないのを無理に出てしまったのだった。だが松洲先生やお嬢さんは、私の身体のことを心配してくれて、読書さえも控え目にするように言ってくれた。しかし私は、矢も楯もたまらない程書いて見たくって、松洲先生やお嬢さんには隠れて、墓石の上や、草原の中で書いたりした。だが到頭見つかって、その時には自分でも、自分の身体の事を考えない野蛮的なのに顔を紅くした。それから暫く書くのを罷めていたが、やっぱり書かずにはどうしてもいられないような気がしたので、わざわざ山の中に隠れては書いて来た。
十月になって私は鎌倉へ越して行った――みんなは東京へ引き上げたから。私はここでも創作をすることを許されなかった。