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こうげん
高原
木暮 理太郎
「山」1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,921 字 · 10 页
二
二
高原には植物はなくとも、高原たるに変りはあるまい。しかし賽ノ河原のように岩許りごろごろしていたり、練兵場のように砂塵が舞い上ったりするのでは、其存在価値はあらゆる生物にとりて零である。せめて美しい草原でありたい。之に配するに落葉松や白樺などの木立があれば更によく、若し原の一隅に栂の林でもあって、水が流れているか清水が湧き出していれば一層よいのである。八ヶ岳の高原では、其中を或は其一方を渓流が潺湲として流れている所が多い。或る高原では渓流の代りに、或は之に加うるに、湖水や池沼を湛えたり、又は湿原を成している所もある。其代表的のものは尾瀬であろう。日光の戦場ヶ原や信州の戸隠ノ原、又は鬼怒沼原も稍々之に類している。私には未知の地であるが、九州の久住高原はこの例に入る可きものであろう。未知の地といえば北海道の沼ノ原なども、強く心を惹かれずにはいられない。八甲田山の西から南にかけても亦これに似た所があるが、藪が深いので私は探る機会を得なかった、谷地温泉や蔦温泉附近は、惜しいかな標高が少し低い。この程度のものならば各地に多いのである。
木立が余りに多いことは、喬木はいわずもがな、たとえそれが灌木であっても、高原に望ましいことではない。