轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こうだいじ
高台寺
宮本 百合子
「新潮」1927(昭和2)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,503 字 · 14 页
空には月があり、ゆっくり歩いていると肩のあたりがしっとり重り、薄ら寒い晩であった。彼等は帰るなり火鉢に手をかざしていると、
「どうでござりました」
女将さんが煎茶道具をもって登って来た。
「ようようお見やしたか」
「顔違いがしてしもて、偉い難儀しました」
章子が笑いながら京都弁で答えた。
「ああなると、どれがどれやら一向分らんようになるなあ」
「そうどす、一寸は見分けがつきまへんやろ、然し男はんにすると、そのなかから、ふんあこにいよるなあと思て観といやすのが、また楽しみどっしゃろさかいなあ」
深い鉢に粟羊羹があった。濃い紅釉薬の支那風の鉢とこっくり黄色い粟の色のとり合わせが美しく、明るい卓の上に輝やいた。女将は仲間でお茶人さんと云われ、一草亭の許へ出入りしたりしていた。小間の床に青楓の横物をちょっと懸ける、そういう趣味が茶器の好みにも現われているのであった。
「――これ美味しいわね、どこの」
「河村のんどっせ」
章子と東京の袋物の話など始めた女将の、大柄ななりに干からびたような反歯の顔を見ているうちに、ひろ子は或ることから一種のユーモアを感じおかしくなって来た。