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まぞう

魔像

林 不忘

新版大岡政談

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页

青空文庫

にかれについて瘤寺裏へ行っていて、庭木の間に潜んで様子を見ていた知らずのお絃である。後をそのままに、丹波を追って急いだのだったが、中途から闇路を転じて、神田の自宅へ立ち帰り右近とお絃はどこへ行ったのだろうと考えながら独りつくねんとしていた神尾喬之助にその旨を語る。そして、喬之助が四谷をさして宙を飛ぶと同時に、お絃は、かねて右近と盟約を結んだ釣魚狂いの魚心堂先生をも頼み込み、二人その足で喬之助の後を追って四谷へ……。

ちょうどこの頃、万策尽きた西丸御書院番頭脇坂山城守が、源助町に神保造酒を訪ねて、喬之助事件に関し助力を乞い、神保先生はまた、喬之助妻園絵と交換にそれを承諾していたが、これを立ち聞きしたのが、造酒の妻とも妾ともつかない芸妓上りの市松お六で、思わず柳眉を逆立てているところへ、鏡丹波が三羽烏の助剣を求めて帰って来たので、その場はそれなりに、天童利根太郎が五十七名の剣士をつれて四谷へ押し出す。横地半九郎方を襲っているのが喬之助ではなくて茨右近であろう等とは脇坂山城守ゆめにも知らないから、今夜こそは間違いなく神尾喬之助を討ち取ることが出来るであろうと、大層な御機嫌でなおも造酒に今後の事を頼み込み、その忍びの訪問から帰って行く。