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まぞう
魔像
林 不忘
新版大岡政談
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页
幼少の頃からかなたこなたとルンペン性を発揮して、公園のベンチで寝たり、小田原の少年刑務所を脱走したり、とにかく、十七、八の頃には、長脇差しの群に投じて博奕は三度の飯よりも好きという有様だ。だんだん評判が悪くなって生れ故郷の大平村にもいられなくなり、上京して新聞配達でもしようと思っていると、こういう不良少年には、それをまた相手にする不良少女というのがあるので、不良少女は何も都会だけの産物で、神宮外苑で黒いスポーツ選手にサインを求めるとは限らない。昔から田舎にもこの不良少女があったという証拠には、長庵の相手のお六である。同村内で恋を語らって、鎮守の森などで肥料臭いランデブウをやっていたのだが、このお六がまた、何とかして東京へ出て、ネオンサインの下でエプロン姿か、ジャズに合わせるハイヒールで、銀座か新宿――もっとも当時の新宿は甲州街道で、お百姓と馬方と肥やし車と蠅の行列だったものだが――とにかく女給かダンサーにでもなって華やかな日を送りたいという心掛けだから、すぐ長庵と話がきまって、二人手に手を取って大平村を出奔する。捜索願いぐらい出たかも知れないが、二人はズッと東京駅で降りて、ちょうど夜のことで、眼前にドッカリ超弩級に灯が入ったようにうずくまっているのが丸ビル……これといって手に職があるわけではなし、それに