轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はとつかい

鳩つかひ

大倉 燁子

「富士 九巻八号」1936(昭和11)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,680 字 · 30 页

青空文庫

「冗談じゃない、そんなに早く掴ってたまるもんか、顔を見られたと知りゃ犯人だって油断をしまいからね」

「警察じゃ直ぐ非常線を張るって言ってたぜ、目星がついたらしいんだ」

「へえ、ほんとに?――じゃ起きてるとも、家に泊っている人の口から犯人逮捕の端緒を得たなんていうと名誉だからね。また新聞に出るよ」

主人は新聞を畳んで大切そうに懐中にし、たてつけの悪い扉をガタピシやりながら出て行った。

本田は部屋に蒲団を敷いて、着のみ着のままでごろりと横になった。低い天井が顔に被ぶさるように感じる、電燈を消して眼だけは閉ぶっていた。帳場の柱時計が十二時を打った、やがて一時を聞き、二時を聞いた、カーテンのない窓ガラスに三日月の淡い光がさしている。

ふと彼はかすかな物音を聞いた。屋根の上を忍び歩いてでもいるような、猫だろうか? それにしては少し重みがあり過ぎる、本田は蒲団を脱け出して暗い隅に蹲った。物音はぴたりと止り、またもとの静けさに返ったが、少時すると今度は細い蛇のようなものがぶらりと窓に垂れ下ってきてゆらゆらと動いた、よく見ると蛇ではなくて、黒い綱だ。するとまた頭の上でミシリミシリと音がした、続いて綱よりは太い二本の足がぶら下り、綱を辷ってするすると降り、窓枠を足がかりにして苦もなく室内に忍び入った。