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さぎむすめ
鷺娘
大倉 燁子
「宝石 一巻四号」1946(昭和21)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,370 字 · 21 页
「それを百合子が白状したのか?」
「どうして、あの勝気な、虚栄心の強い女が自分の弱点を曝露するもんですか。彼女は鷺娘を踊ることになっていたが急に気分が悪るくなり、止めると云えば家元に叱られるので已むなくまゆみに代理をつとめてもらったとだけは白状しました。まゆみが踏抜きをしたのは舞台でだそうです。それ以上は何も云いません。勿論博士との関係についても絶対にそんな事はないと云い張っています」
「竹村春枝という婦人はどうして微細な関係を知っていたのだろう?」
「さあ」
「まゆみの芸を封じたなどとは想像とも思えない、現にあれだけ好きだった踊りだからな、それを禁じられていたればこそやらなかったのだろう。しかし、そんな事まで知っているのが妙じゃないか」
「竹村は頻りに博士と百合子との関係を云って、一週間ほど前にも博士がまゆみを応接室に追いやって、百合子と巫山戯散らしていたのを見たと云っています。それから名披露の前日百合子が何かまゆみを脅迫でもしているらしく烈しく云い争っているのを庭先にいて聞いたとも云っています。その時まゆみが百合子の手から奪い取って庭へ投げ捨てた紙包を拾ってみたら毒薬が入っていた、変だなと思っていたら果してこの度の事件だ、これはたしかに計画的に行われた殺人で、まゆみを殺す目的で鷺娘を踊らせたに違いない、と云っ