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マージャンさつじんじけん

麻雀殺人事件

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页

青空文庫

いや、これは浅間しい探偵という職業意識である。今夜は仕事を忘れて、ただ麻雀を打っているのではないか。つまらんことは考えまい。――

そのうちに、取りのこされていた星尾と園部とみどりの三人は、もう勝負を争うことをあきらめたものか、卓子を離れて、この室を出て行った。帆村探偵は、ようやく安易な気持になって、競技に夢中になることができたのであった。

2

帆村探偵の卓子も、それから三十分ほどして、勝負が終った。最後の風に、莫迦あたりを取った彼は、二回戦で合計三千点ばかりを稼ぎ、鳥渡いい気持になった。卓子を離れるときに、あたりを見廻すと、どの卓子もすでに客は帰ったあとで、白い真四角の布の上に彩さまざまの牌が、いぎたなく散らばっていた。時計を出してみると、もう十一時をすこし廻っていた。

隣りの広間にも客はもう疎らだった。豊ちゃんが、睡そうな顔をして、近所の商店の番頭さんのお相手をしていた。

「豊ちゃん、さよなら」

「さよなら、センセ――じゃなかったホーさん」

「みんな、もう帰っちゃったかい」と、聞かでもよいことを帆村はつい訊いてしまった。

「お嬢さんに、園部さんにシンチャンは、今帰るからって帰ったばかりよ。