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たそがれのこくはく

黄昏の告白

浜尾 四郎

「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页

青空文庫

それは賊が出刃で、妻をおどかしている最中、妻が悲鳴をあげたとすると、賊が持っている出刃を使用する方が自然じゃないか、と思われたのだ。しめ殺すとすれば出刃庖丁をほうり出さねばならないわけなのだ。そういう場合、強盗は実際どうするか。出刃を投げ出してしめにかかるものだろうかどうか、という点だった。

ところが係官は美事に僕のいうことに乗せられてしまった。恐らく判事も検事もその道にかけて玄人だから、かえって欺されたのではないかと考える。実際そういう場合があるのだろう。彼等の経験から推して、僕のいうところに不自然さがなかったためだろう。美事に通ったのだ。

ところが君には僕の嘘が判ったね、君にさっき出刃のことを聞かれた時はいやな気持だったんだ。恐らく君はあの点から疑ったのだろうが、それはやはり君が僕同様に素人だからだよ。

これで僕のいうことは終った。さあきかしてくれ、さっき僕のきいたことだ。僕は妻を殺した。しかし妻は不貞ではなかったのだろうか。」

もし部屋が明るかったら、山本の顔色は瀕死の大川にもまして、死人の色を呈していることが認められたろう。ごくりと唾をのんで山本が云った。