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たそがれのこくはく
黄昏の告白
浜尾 四郎
「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页
蓉子はたちまち息絶えた。僕はすばやくたんすの引出しをあけたり、そこらのものをちらかしたりした。賊の手から出刃をとって側に投げすて、その死体を蓉子の死体の上にのせ、覆面をとって蓉子のくいしばった歯をおしあけてそこへつめこんだ。これらのことは電光のごとく行われた。なぜならば、ピストルの音をきいて、誰かきはしないかという考えがあったから。
こうやって万事にぬかりはないと信じてから、泥棒と叫んで表にとび出したのだが、意外にも早く、夜警の男に出会してしまったのだ。僕はすぐに筋道のたった話をしなければならない。十分に考え切ってなかった僕はやむを得ずわざとそこへひっくり返ったのだ。こうやっている間に頭を冷静にして、警官に対する申立てを考えはじめたのだった。
僕が申立てようとすることに、不自然なところは少しもないはずだ。立派に泥棒が押し入っている。しかも出刃庖丁をもっている。それを僕が殺すことは不思議はない。なぜならば妻が殺されているからだ。
僕はすっかり安心した。そうしてはっきりとすじ道をたてて申立てたのだった。ただたった一箇所、犯罪事件に関してはまったくの素人の僕が心配した点がある。