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“しきけんはつどう”をかかざるのき
“指揮権発動”を書かざるの記
犬養 健
「文藝春秋」文藝春秋新社、1960(昭和35)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页
こんな日程で、私はいちおうラジオから解放されるのだが、午後はその頃訪欧の途上にあったアイゼンハウァー米国大統領の消息に、やはり格別の注意を払っていた。このアイクの人柄を紹介した数ある解説のなかで、私は松本重治君の話に一番感心した。松本君はその逸話をワシントンでの午餐の卓上でニューヨークタイムス支局長のジェームス・レストンから聞いたのだそうだが、アイクの若い頃、学資の事情から官費で事足りる士官学校へ入学したところが、プロテスタントのささやかな、しかし信心深い団体に属している彼の母堂が、決してこの人殺し商売を生涯許さなかったという。私はこの話を知って以来、アイクの外国から外国へ旅するところ、その後ろにいつも付き添っている亡き母堂の俤の厳しい鞭を連想して、「嘘をつかぬ人」として、今や世界の信望を克ち得ているアイクのよって立つ人生観の根拠に深い親しみを抱くようになった。この厳しさが世代から世代へ伝わる限り、キリスト教は世の塩たる価値を失わないであろう。
数年前、私はカリフォルニアの田舎で、イエズス会の神父さんとキリスト教の厳格さについてかなり激しい議論をしたことがある。