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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

「ホームイン」

五大洲の一撃で一点を恢復した。このとき三塁の背後の松の枝高くらっぱの音が聞こえた。ついで気違いじみた声!

「もくもく万歳! もくもく勝ったぞ」

「ぷうぷうぷうぽうぽうぷう」

らっぱは千三の伯父覚平で、叫んでるのは善兵衛である。

この声援と共にここにおどろくべき声援者が現われた、それは製粉会社の職工四、五十名と、木材会社その他の労働者、百姓、人足、馬夫! あらゆる貧民階級が一度にどっとときの声をあげた。

「もくもく勝った勝った」

これに対して総兵衛ははじめは羽織を脱ぎつぎは肌脱ぎになりおわりにすっぱだかになっておどりだした。

「フレー、フレー、浦中!」

野球場は見物人と見物人との応援戦となった。

回が進んだ、一対一が二対二となり、五回、六回におよんだとき、浦中は五点、黙々は三点になった。二点の相違! このままで押し通すであろうか。千三は回ごとにミスをした、しかもかれは三振二つ、ピーゴロ一つを打っただけである。かれはすみに小さくなって涙ぐんでいた。覚平はもう松の枝に乗りながららっぱをふく勇気もなくなった。

「勝てないかなあ」とかれは善兵衛にいった。