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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
それは柳光一であった。
「なんでえ」
「きみは悪いよ」と光一は歩みよった。
「なんでえ」と生蕃がほえた。
「きみはぼくと親友になるといったことをわすれたか」
「わすれはしねえ」
「じゃ、一緒に学校へいこう」
「しかし」
「もういいよ」
光一は生蕃のひじをとった、そうしてチビ公ににっこりしてふりかえった。チビ公は鳥打帽をぬいで一礼した。
この日ほど豆腐の売れた日はなかった、町では覚平が助役をなぐって拘留されたという噂が一円に拡がった、しかもそれは貧しき豆腐屋の子がになってくる豆腐を強奪したうらみだとわかったので町内の同情は流れの低きにつくがごとくチビ公に集まった。
「買ってやれ買ってやれかわいそうに」
豆腐のきらいな家までが争うて豆腐を買った、チビ公のふくらっぱは凱歌のごとく鳴りひびいた。
二時間にして売りつくしたのでチビ公は警察へいった。
「伯父さんをゆるしてください、伯父さんが悪いんでないのです、酒が悪いんですから」
かれは警部にこう哀願した。
「警察ではゆるしてやりたいんだ」と警部は同情の目をまたたいていった。「だが阪井の方で示談にしないと警察では困るんだ」
「監獄へいくんでしょうか」