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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
校長はだまってそれを聞いていたがやがておごそかにいった。
「たい焼き屋に退却を命じろ」
いかになることかとびくびくしていた生徒共は校長の措置にほっと安心した、たい焼き屋はすぐに退却した、だが哀れなるたい焼き屋! 一時間のうちに数十のたいが飛ぶがごとく売れるような結構な場所はほかにあるべくもない。かれは翌日またもや屋台をひいてきた。それと見た校長は生徒を校庭に集めた。
「たい焼きを食うものは厳罰に処すべし」
生徒は戦慄した、とその日の昼飯時である。生徒はそれぞれに弁当を食いおわったころ、生蕃は屋台をがらがらと校庭にひきこんできた。
「さあみんなこい、たい焼きの大安売りだぞ」
かれはメリケン粉を鉄の型に流しこんで大きな声でどなった。人々は一度に集まった。
「おれにくれ」
「おれにも」
焼ける間も待たずに一同はメリケン粉を平らげてしまった。これが校中の大問題になった。じじいが横を向いてるすきをうかがって足を引いてさかさまにころばし、あっと悲鳴をあげてる間に屋台をがらがらとひいてきた阪井の早業にはだれも感心した。
わいわいなきながらじじいは学校へ訴えた。たい焼きを食ったものはわらって喝采した、食わないものは阪井の乱暴を非難した。