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あすへのわだい
あすへの話題
中谷 宇吉郎
「日本経済新聞」1956(昭和31)年5月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,402 字 · 7 页
岩絵具
政治はシャーマン教の司である女王卑弥呼によって統べられ、それはたしかに半未開人の協同体社会であった。
しかし倭人伝と同じ時代、あるいはそれよりも少し前の時代に、静岡の一隅の原始農村で、硝子玉の飾りをつけていた人もあったのである。
小、中学校の歴史や社会の教科書に「景行天皇や神功皇后の時代」の説明として、人民は入墨をして水に潜って魚をとっていたことだけを、なんだかうれしそうに書くのは、少し考えものである。それもよいが、同時に、登呂の硝子玉のことも書いておくべきではなかろうか。当時の硝子玉は、今のダイヤモンドに比較すべきものではないかと考えられる。
岩絵具
日本画で岩絵具を使うことは、日本では常識になっているので、誰もあまり関心を持たない。しかし外国人にはひどく珍しく響くらしい。先日娘が日本画を少し習っていて、アメリカの友人への手紙の中で、岩絵具のことをちょっと書いたら、折返し返事がきた。「岩石の粉で絵を描くなんて、実にすばらしい。今度くるときに、少し持ってきて見せてくれ」といってきたそうである。その絵具を買いに上野のP軒へいくというので、ついていってみたが、なるほど、「すばらしい」