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あほうどりのなくひ
あほう鳥の鳴く日
小川 未明
「童話」1923(大正12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,725 字 · 16 页
それから、正直な「鳥の老人」として、この町の付近には評判されました。この人の、鳥の焼き画や象眼は、急に、名人の技術だとうわさされるにいたりました。
暗い、夜のことであります。この年とった男は、ランプの下で仕事をしていますと、急にじっとしていたあほう鳥が羽ばたきをして、奇妙な声をたてて、室の中をかけまわりました。いままでこんなことはなかったのです。
「おまえは、気でも狂ったのではないか!」と、男は、鳥に向かっていいました。けれど、鳥は、なかなかおちつくようすはありませんでした。
「先生に、きてみてもらおう。」と、男は、もうこのごろでは、親しくなった、隣の先生を呼んだのでありました。
「鳥は、ものに感じやすいというから、今夜、変わったことがあるのかもしれない。あるいは地震でもな……気をつけましょう。」と、先生は、しきりに騒ぐ鳥を見ながらいいました。
はたして、その夜、この町に大火が起こりました。そして、ほとんど、町の大半は全滅して、また負傷した人がたくさんありました。
この騒ぎに、あほう鳥の行方が、わからなくなりました。男はどんなにか、そのことを悲しんだでしょう。