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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
6 「雄弁」の魅力
6 「雄弁」の魅力
F・R君
文学座の「シラノ・ド・ベルジュラック」が新劇空前の「大当り」であった、という事実を、君はいくぶん懐疑的な眼でみているようですね。
――あの芝居がそんなに面白いのですか?
――あの芝居を面白がる見物は、いったい信用できる見物なのですか?
――脚本はまあ、翻訳を含めて、一応面白いといえるでしょうが、俳優の柄や演技が、幻滅にちかい印象を与えましたが、それは間違いでしょうか?
――あの芝居が、現在、あんなにまで「受ける」というのは、時代的にみて、多少憂うべき徴候ではないでしょうか?
以上で、だいたい、君の疑問とするところは要約されている筈です。
僕がまず、君に言いたいことは、いっさいの先入見をすてて、素直にあの芝居を観てほしいということです。
第一に、君は、フランス近代劇史の知識で、エドモン・ロスタンという作家の占める地位を過小評価しようとしてはいませんか?
第二に、君は、新劇の観衆は、常に、そして単に、「辛さ」を舞台に求めなければいけないと、決めてかかっていませんか?
第三に、文学座の俳優は写実的な演技しかできぬという世評をそのまま信じてはいませんか?