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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
第四に、あの芝居の含んでいる一種の英雄主義的な色彩を、一つの主張ででもあるように受けとっているのではありませんか?
こういう反問をいきなり出した意味は、君から、はっきりそうだという答えを期待しているわけではなく、これらの問題について、あらためて、僕と一緒に考えてみてほしいからです。
さて、エドモン・ロスタンという作家のことは、日本では、辰野、鈴木両氏の苦心になる名訳を通じて以外、あまり知られていないと思いますが、彼は、この「シラノ・ド・ベルジュラック」の上演によって、一躍、少壮にしてパリ劇壇の寵児となった劇詩人で、この芝居の空前の成功には三つの理由が挙げられています。即ち、戯曲そのものの魅力、主演俳優コクランの妙技、それから、当時の演劇界を風靡していた自然主義的舞台への反動と、この三つの理由が重なって、殆ど誰もが予期しないくらいの「大当り」をとったとされているのです。
たしか、ポルト・サン・マルタン劇場であったと思いますが、招待日の廊下は、まさに株式取引所を思わせるような騒々しさで、甲論乙駁、感嘆と憤慨との入り交る、興奮のルツボと化したそうです。