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あるおんせんのゆらい

ある温泉の由来

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,655 字 · 30 页

青空文庫

友情の精勤者

今回は咎めませんから、千福寺へ寄って、お詫びを言ったら宜いでしょう」

「先生。いや、間違いました。署長さん」

「ハッハヽヽ」

「署長さん、僕、嘘はつきません。千福寺の方には本当に関係ないんですけれど、引佐のお寺のは僕です。それから小池君は全く知らないんですから、僕と一緒にされては気の毒です」

「すると千福寺のは誰だね?」

「僕の村の青年達でしょう。僕がお寺で驚してこう手品の種を明かしてやりました。皆感心していましたから、実地に応用したのだろうと思います。僕と小池君なら、自分の名前の彫ってある亀は持って来ません」

「成程ね」

「しかし僕は責任を感じます。青年達に注意して、自分も慎みます」

「結構々々。それじゃ青年達を寄越して、千福寺へ断りを言わせてくれ給え。和尚さん、カン/\に憤っている」

「僕、行って、あやまりましょう。亀はお寺の池へ寄進します」

「三十もいるんじゃ持って帰れない。もう宜しい」

と署長さんはそれ丈けで堪忍してくれた。考えて見れば、早川君も罪はない。僕に至っては全くお附き合いだった。

友情の精勤者

僕達の示すお手本の為め、東西引佐村がダン/\仲よしになると思っていたら、事実は寧ろ悪化していた。