轻松读懂日语经典作品
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いしがおごる
いしが奢る
山本 周五郎
「サンデー毎日臨時増刊仲秋特別号」毎日新聞出版、1952(昭和27)年10月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,304 字 · 45 页
いしは身もだえ、激しく頭を振った。保馬はいしの口の中へ指を入れた、くいしばった歯には非常な力がこもっていた。保馬はいしの髪を掴み、首の折れるほど仰向かせた。すると顎があいて、指が中へすべり込んだ。保馬は乱暴にその指を押入れ、力任せに舌を圧した。
「水です」千之助が戻って来た、「なにかくわえさせましたか」
いしの躯が痙攣を起し、すぐに嘔吐が始まった。形容しようのない不快な(それが毒物なのだろう)匂いがあたりにひろがり、いしは悶絶するかのように呻いた。
「そうだ卵白を忘れていました」千之助が云った、「卵の白身を持って来ます、それから医者を呼びますか」
「あとにしよう、外島のことがある」
千之助は走り去った。保馬はいしの頭を横にして、口移しに水を飲ませた。いしは飲んだ、諦らめたのか、それとも力が尽きたのか、保馬の飲ませるだけ飲んだ。
「さあ吐け」保馬はどなった、「すっかり吐きだしてしまうんだ、その胸の中にはいっているやつもいっしょに、残らず吐いてしまうんだ、残らずだぞ、わかるか、いし」
いしは頷いたようであった。そしてまた嘔吐した。保馬の眼から涙がこぼれた、彼はいしの背を叩きながら、喉の詰ったような声で云った。