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うずめられたかがみ
うずめられた鏡
小川 未明
「女学生の友」1953(昭和28)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,962 字 · 12 页
「この金属を、分析してみなければ、わからぬことだ。おなじ金属でつくったものなら、この一つだけが、くさらぬというわけがあるまい。」と、博士は、科学者なら、空想を事実として、信ずるわけにいかないと、ひややかな調子で、助手に答えたのであります。
このとき、博士は、古墳の発掘をてつだってくれた役場の若い書記にしろ、学校の先生にしろ、話を聞いていると、みんな若い人たちは詩人であって、物質だけをたよりとしていない、そのことは、いままでの学者たちとちがって、たましいのありかを知るといういきかたで、考古学の将来に、明るい道が開けるような気がしたと、助手の小田さんにむかっていったのでした。
その翌日のことです。博士は研究室へ出かけて、旅行先で集めてきたいろいろの材料を、よくしらべて、配列するのをたのしみとしました。
「先生、おはようございます。やはり、あの鏡は、ふしぎであります。先生のおいでなされるのを待っていました。」と、昨夜は、研究室で宿直した小田さんは、博士の顔を見るや、とびつかんばかりに訴えたのでした。
「ふしぎなことって、どんなことだね。」と、博士も、なんとなく、胸さわぎを感じました。