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おさくのはなし

おさくの話

小川 未明

「教育研究」1929(昭和4)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,508 字 · 9 页

青空文庫

明日の朝、わしが迎えにきて、連れてゆくから……。」と、おじいさんは、ねんごろに告げました。

やがて、おじいさんは、帰りました。その晩は、母親と娘が、名残惜しそうに、語り明かしたのでした。

おじいさんは、約束どおり、朝になると、じきにやってきました。そこで、おもしろいことをいって、二人を笑わせたり、元気づけたりしました。

「一時間とかからない街の中だ。たまには、ちょっとお暇をもらって、顔を見にくるがいい。さあ、したくがいいなら出かけるとしよう。」

目を赤くした娘をつれて、おじいさんは、出かけました。母親は、独り残されて、出てゆく娘のうしろ姿を見送っていました。

おじいさんは、おさくを静かな高台の門のある家につれてきました。この屋敷へは、おじいさんが、ときどき、植木の手入れにくるのであります。

「まだ、なにも知らない子供で、たいしたお役にもたちますまいが、どうぞ、よろしくお願いいたします。性質は、正直で、いたって、さっぱりしていますが、すこし勝ち気ですから、そんなところも、お含みおきくださいまして、よろしくお世話いただきとうぞんじます。」と、おじいさんは、おさくの方を見かえって、ていねいに、奥さまに対して、頭を下げました。