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おさくのはなし
おさくの話
小川 未明
「教育研究」1929(昭和4)年10月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,508 字 · 9 页
朝早くから仕事にかかり、夜おそくなるまでしても、きめてある数までは、容易にできなかった。それに、まだ慣れないうちは、糊がよくついていないといって、問屋に持っていってから、母は、小言を聞かされて、しおしおと帰ってきたこともあります。そのときのようすなどが目にうつると、日ごろから、一つの風船球にも、貧しい人たちの並ならぬ労力が、かかっていると思った。自分の考えは正しいので、それをそうとも思わぬほうが、なんといってもまちがっているのだと思われたのでした。
おさくは、そんなことから、とうとう暇を出されてしまいました。
「あんまり、強情を張るものでない。あんないいお家を、お暇なんか取らなくてもよかったのだ。」と、植木屋のおじいさんが、いったときに、彼女は、お母さんが、あれほど、苦心して、風船球を張っていられたのを知るだけに、なんの思いやりもなく、たたき破るのを見ると、つい我慢がしきれなくなって、失礼なことをいったり、また、考えると、くやしくなってきて、つい強情を通す気になったことも、おじいさんに物語ったのでした。
「おまえが、いうことは、ほんとうのことだけれど、強情はよくないことだ。