轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おばなさわ

おばな沢

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1949(昭和24)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,479 字 · 45 页

青空文庫

節子は穿物をぬいであがった。一方に切炉のある板間があり、その三方に畳が敷いてある。炉の右がわに夜具をのべて、そこに人が寝ていたが、顔に白い布がかぶせてあるのを見て、節子ははっと息が詰った。――顔にかけてある布のぞっとするような白さ、横たわったまま微動もしない躯の怖しい沈黙。……節子は喘ぎ、両手をついて身を支えた。血がぐんぐん冷えてゆき、眼が廻って、今にも倒れそうになったのである。

「土民に弓でやられたのです、今朝まだ暗いうちでした、お気の毒です」

相良が夜具の裾をまわって来て、向うの枕許へ静かに坐った。

「独りで出ては危ないと、いつも注意してもいたんですが、今朝も部屋にみえないので、心配してみにゆくと、この下のねぶが沢というところに倒れていました。矢は心臓のまん中に当っていましたから、おそらく即死でしょう、私がみつけたときはもう冷たくなっていました」

節子は唇を噛んだ。相良の話を聞きながら、頭のなかではまったくべつな幻想が動いていた。

夜明けの暗い坂道がみえる。こっちの藪の蔭に相良がひそんでいる、彼は弓に矢をつがえ、息をひそめて、暗い道のかなたをじっとうかがっている。