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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
「どっかへ奉公にでも行く事よ。
もうその方がどい丈好いか知れないわ。
つまらないんですもの、斯うして居たってね。
※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はお久美さんの打ち明けかねて居る気持を大方は察しる事が出来たけれ共、どれ程の思い違いと混惑が起って居るのかは知る事が出来なかったので、到々思い切ってお久美さんの気を引くために、
「貴方の所へ今度来た方ね、
どんな人。
と云って見た。
「重三さん?
「ええ。
「私、分らないわ。
「そんな事あるもんですか。
一体どんな性質なの。
お久美さんは引きしまった顔をうつむけて乾いた土を見て居たが、いきなり頭をもたげると、
「大馬鹿よ!
と、※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子が喫驚した程鋭い声で叫ぶ様に云って、ニヤニヤと意味ありげな微笑を洩した。
※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はその古代の彫像の或る者に現わされて居る様な計り知れない程複雑した微笑のかげから何物かを得ようとして、常とはまるで異って居るお久美さんを厳格な気持で眺めた。
※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は陰気になって、その高く短く空の中に飛び去って仕舞った