轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おならさま
お奈良さま
「別冊小説新潮 第八巻第一〇号」1954(昭和29)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,159 字 · 20 页
あなたのオナラは軽犯罪法の解釈いかんによっては当然処罰さるべきことで、すくなくとも文化人の立場からでは犯罪者たるをまぬかれません。現今のダラクした世相に乗じ、たとえばストリップと同じように法の処罰をまぬかれているにすぎないのです。特に自らオナラサマと称してオナラを売り物にするなぞとは許しがたい低脳、厚顔無恥、ケダモノそのものです。いえ、ケダモノにも劣るものです。なぜならケダモノはオナラをしてもオナラを売り物にはしません。あなたは僧侶という厳粛な職務にありながら、死者や悲歎の遺族の目の前においてオナラを売り物にして……」
「すみませんことでした」
とお奈良さまは急いで逃げた。というのは、自責の念にかられて聞くに堪えがたかったからではなくて、オナラが出かかってきたからであった。ここでオナラを発しては娘の絶交は永遠に解いてもらう見込みがないから、取り急いであやまると、そそくさと近所の路地へかけこんだ。引込み線の電柱にぶつかるようにすがりついて、たてつづけに用をたしたところ、不幸にもその電柱の下には小さな犬小屋があった。その犬小屋には小さくて臆病だが自宅の前でだけはメッポー勇み肌のテリヤの雑種が住んでいたから、思いがけない闖入者に慌てふためいて、お奈良さまの足にかみついたのである。