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そのひからしょうじきになったはなし

その日から正直になった話

小川 未明

「赤い鳥」1927(昭和2)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,341 字 · 7 页

青空文庫

あるところに、気の弱い少年がありました。いい少年でありましたけれど、気が弱いばかりに、うそをついたのです。自分でも、うそをつくことは、よくない、卑怯なことだということは知っていました。

「もう、これから、私はうそはつかない。」と、うそをいった後では、いつも少年は心にそう思うのでした。

けれど、それは、悪いと思われないような場合もありました。たとえば、病人に向かって、

「このあいだよりも、ずっとお顔の色がよくおなりです……。」というと、実際は、そうでなくても、病人を喜ばすものである。こんなときのうそは、かならずしも悪いのでない。もし、そういうことができれば、

「僕は、昨夜、お化けを見たよ!」といって、なにか畑の中にあったものを見て、空想にふけったことをまことしやかに、友だちに話すと、つまらなそうな顔つきをしていた友だちらが、急に目を輝かして、近くそばへ集まってきて、

「君、ほんとうかい……。」というのであります。

「ああ、ほんとうだ。」と、少年は、熱心に、空想したことを、見たことのように話すのでした。

この少年のうそというのは、たいていこうした罪のない、ちょっとみんなをおもしろがらせようとする種類のものでした。