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それから

それから

夏目 漱石

代助醒来时,脑海里悬着一块木板,随脚步声消失。他总在半夜按着胸口数心跳,思考这跳动的生命到底意味着什么。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 页

青空文庫

十

代助は大きな鉢へ水を張って、その中に真白な鈴蘭を茎ごと漬けた。簇がる細かい花が、濃い模様の縁を隠した。鉢を動かすと、花が零れる。代助はそれを大きな字引の上に載せた。そうして、その傍に枕を置いて仰向けに倒れた。黒い頭が丁度鉢の陰になって、花から出る香が、好い具合に鼻に通った。代助はその香を嗅ぎながら仮寐をした。

代助は時々尋常な外界から法外に痛烈な刺激を受ける。それが劇しくなると、晴天から来る日光の反射にさえ堪え難くなることがあった。そう云う時には、なるべく世間との交渉を稀薄にして、朝でも午でも構わず寐る工夫をした。その手段には、極めて淡い、甘味の軽い、花の香をよく用いた。瞼を閉じて、瞳に落ちる光線を謝絶して、静かに鼻の穴だけで呼吸しているうちに、枕元の花が、次第に夢の方へ、躁ぐ意識を吹いて行く。これが成功すると、代助の神経が生れ代った様に落ち付いて、世間との連絡が、前よりは比較的楽に取れる。

代助は父に呼ばれてから二三日の間、庭の隅に咲いた薔薇の花の赤いのを見るたびに、それが点々として眼を刺してならなかった。その時は、いつでも、手水鉢の傍にある、擬宝珠の葉に眼を移した。