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だまされたむすめとちょうのはなし
だまされた娘とちょうの話
小川 未明
「小学六年生 4巻2号」1951(昭和26)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,555 字 · 9 页
「ひまなときは、いつでもここへきてお化粧をして、いいんですよ。」と、わざとらしく、お竹に、いいました。
お竹は、さもとがめられたように顔を赤くして、なんと返事をしていいかわからず、ただ、下を向きながら仕事をするばかりでした。
奥さまは、つづけて、いいました。
「前のねえやは、それは、顔もよかったし、気がきいて、役にたつ子でしたが、器量がご自慢なので、ひまさえあれば、鏡に向かって、ほお紅をつけたり、おしろいはけでたたいたりするので、なにもお嬢さんじゃなし、パンパンでもあるまいから、気の毒だけれど、いってもらったんですよ。」と、さも、おかしいことを話すように奥さまは、笑ったのでした。
あまり、その調子がくだけていて、自分に対する皮肉とはとれなかったので、お竹は、前にいた女中のことだけに、ついつりこまれて、
「そんなに、きれいな方なんですか。」と、奥さまの方を見て、たずねました。
しかし、奥さまのようすは、さっきの笑いとは似つかず、冷ややかでした。
「ええ、それは、顔がきれいなばかりでなく、お料理だって、なんでもできたんです。」と、そっけなく答えた、奥さまの言葉には、おまえのような、田舎出とちがうという、さげすみの意味があらわれていました。