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だまされたむすめとちょうのはなし

だまされた娘とちょうの話

小川 未明

「小学六年生 4巻2号」1951(昭和26)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,555 字 · 9 页

青空文庫

弟妹の多い、貧しい家に育ったお竹は、大きくなると、よそに出て働かなければなりませんでした。

日ごろ、親しくした、近所のおじいさんは、かの女に向かって、

「おまえさんは、やさしいし、正直であるし、それに、子供が好きだから、どこへいってもかわいがられるだろう。うらおもてがあったり、じゃけんだったりすると、きらわれて出世の見込みがないものだ。東京へいったら、からだを大事にして、よく働きなさい。」と、希望のある言葉を与えてくれました。

方々で桜の花の咲きはじめたころでした。お竹は、故郷に別れを告げたのであります。

もう、こちらへきてから、だいぶ日数がたちました。かの女は、朝早く起きると、食事の仕度をし、それが終わると、主人のくつをみがき、また縁側をふいたりするのでした。

奥さまのへやには、大きな鏡がおいてありました。そうじをするときには、自分の姿が、その氷のように冷たく光るガラスの面にうつるので、つい知らず、手を頭へやって、髪形を直したのです。

あちらで、それを見た奥さまは、女はだれでも、鏡があれば、しぜんに自分の姿を写して見るのが、本能ということを知らなそうに、