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つばきのしたのすみれ
つばきの下のすみれ
小川 未明
「小学少女」1922(大正11)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,377 字 · 5 页
そして、いつしか、すみれの花も終わりに近づいてきました。すみれは、そのころは、もう家のうちの生活にあきてしまって、ふたたび、大地の上に帰りたいと思う心が、しきりにしたのでありました。
「お母さん、すみれの花は、もうおしまいですね。」と、ある朝、竹子さんは、お母さんに向かって、いいました。
「ああ、もうおしまいですよ。」と、お母さんは返事をなさいました。
「これを地面におろしてやりましょうね。」と、竹子さんは、またお母さんに聞きました。
「そうです。来年、また、花が咲くから、おろしておやりなさい。」と、お母さんは、答えられました。
「どこが、いいでしょう。」
「いつかあったところが、やはり地が、すみれに合っていていいでしょう。」
すみれは、竹子さんと、お母さんの話を聞くと、ふたたび大地に帰られるのを知って、うれしくてたまりませんでした。
竹子さんは、すみれをもとはえていたつばきの木の下におろしました。そして、人間にふまれたり、鶏につつかれないように、棒を立て、すみれを保護したのでありました。すみれは、そのことをどれほど深く、ありがたく思ったかしれません。
すみれは、安心して、長い月日を送りました。