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でたらめきょう

でたらめ経

宇野 浩二

「伸びて行く 第六卷第一號」目黒書店、1925(大正14)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,418 字 · 11 页

青空文庫

と上手に拍子をとって鉦を叩きました。そして、大へん満足したように、「どうも結構な、覚えいいお経を教えて下さいまして、有難う存じます。では、旅の方、初めからわたしが一人でもう一度さらえて見ますから、間違いないか、聞いておって下さいませ、」といって、「香炉や、花立や、花立や、香炉や、鼠が一疋御入来、かと思ったら、すぐに逃げてしまったア。今度は二疋連れで、何だか相談をしながら、ちょろちょろと御入来。ところが驚いて、大急ぎで逃げて帰ったア。チン、チン。」

それを半分まで聞いていないうちに、「結構々々、」と旅人は可笑しくてたまらなくなりましたので、そっと逃げて行ってしまいました。

その晩のことでした。そういう正直なおばあさんの家のことですから、別に夜になっても、戸締りをするようなことはありません。ただ、冬は寒い風が吹く時に戸を締めておき、夏は暑苦しい時に戸を開け放しておく、といった風でした。

その晩、となり村から山を越えて来て、別のとなり村の方へ川を渡って行こうとする、二人連れの男がこのおばあさんの家の前を通りかかりました。この二人は泥棒が商売で、これから川を越して、向うの村へ着くと夜中頃になりますから、そこで一と仕事をするつもりだったのです。