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どこでふえふく

どこで笛吹く

小川 未明

「少年倶楽部」1916(大正5)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,812 字 · 12 页

青空文庫

光治は、まもなく自分の心をなぐさめた唯一の笛をなくしてしまったことを後悔いたしました。

ある日の晩方、彼はさびしく思いながら田舎路を歩いていますと、不思議なことには、このまえじいさんにあったと同じところで、またあちらから箱をしょってとぼとぼと夕日の光を浴びながら歩いてくるじいさんに出あいました。じいさんは光治の顔を見ると、忘れずにいたものとみえて、にこにこ笑いながら、近寄ってきまして、

「坊はさだめし笛が上手に吹けるようになったろう、さあ、あの笛を私にお返しなさい。そのかわり、もっとおもしろい、いろいろな音色の出るいい笛をおまえにあげるから。」

と、優しくいいました。光治はこれを聞くと、なんとももうしわけのないことをしたと思いました。けれど、どうすることもできませんでした。彼はついに、一部始終のことをじいさんに打ち明けて、どうか許してくださいともうしました。

すると、じいさんの優しい顔は急にむずかしそうな顔つきに変わって、

「なんでも人まねをしようとすると、そういう損をするもんだ。おまえの力を、おまえは知らんけりゃならん。そして、人間というものは、なんでもできるもんじゃない。